2006年02月22日

スティル・ライフ

ここ一ヶ月間、何度も繰り返し読んだ本です。

スティルライフ.jpg
池澤夏樹著
『スティル・ライフ』


宇宙や微粒子について語る佐々井という男と
普通の男である「ぼく」が
とある事情から三ヶ月間をともに過ごす、という話。

池澤夏樹さんが理系出身の方であるせいか
科学の話題がふんだんに盛り込まれつつ、
なんとも言えない感性を感じさせられる
ふわふわしたお話になっています。

物事にはまだまだいろんな面がある、と
世界をおもしろく感じさせてもらえる本です。


とくに冒頭の2ページがものすごい引力を持っていて、
ぐんぐん惹きつけられてしまいます。

***
この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。
世界はきみを入れる容器ではない。
***

当たり前の事なのですが
この表現、素敵だと思いませんか?

この後にはこう続きます。
世界ときみは平行に、寄りかかることなく立っている。
世界の方はあまりきみの事を考えていないかもしれない。

一方、きみの中にも世界がある。
外の世界と中の世界。
きみの意識は、その境界にいる。

***
大事なのは、
山脈や、人や、染色工場や、
セミ時雨などからなる外の世界と、
きみの中にある広い世界との間に
連絡をつけること、

一歩の距離をおいて並びたつ
二つの世界の呼応と調和をはかることだ。

たとえば、星を見るとかして。
***


星を見ているとき。
走っているとき。
山を登っているとき。

私は確かに外の世界を見ています。
外の世界に触れています。

星を見るために遠くの方まで目をこらし、
走るために大きく息を吸い込み、
山を登るために一歩一歩を踏み出します。
周りの景色を見ようとします。

同時に、意識は自分の中に
深く深く潜って
大きく大きく広がっていきます。

視界を外に広げつつ
意識を内に広げていく。

目の前には外の世界が広がり、
頭の後ろには中の世界が広がる感覚。

その感覚は、普段のものとは
まったくもって違うのです。

距離感の再構築。

物との距離
人との距離
自分との距離

遠くにあるのに近く感じる星。
吸い込む空気の存在感の大きさ。
登る自分と静かな風景。
そんなものを感じながら
自分の中で広がる意識。

日常からちょっと切り離された、
心地のよい違和感。

そんな違和感を味わう時間があった日は
一日が長く感じます。

***
星を正しく見るのはむずかしいが、
上手になればそれだけの効果があがるだろう。

星ではなく、せせらぎや、
セミ時雨でもいいのだけれども。
***

宇宙と自分が
一本の線でつながっているような感覚。

ぜひ読んでみてください。
posted by あんどうみちこ at 00:13| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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